津山中央病院


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内視鏡センター
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食道静脈瘤硬化療法

食道静脈瘤治療

 肝硬変(B型、C型、アルコール性、その他)を有している患者さんには食道静脈瘤が形成されます。肝臓からは門脈という血管がでておりますが、肝硬変の患者さんの場合にはこの門脈の圧が亢進しており、その結果として食道の静脈の圧が高くなり、静脈が膨張・蛇行し食道静脈瘤となります。食道静脈瘤自体での自覚症状はありませんが、時に破裂し大量出血となり吐血や黒色便を来すことがあります。特に、上部消化管内視鏡検査で静脈瘤の形態が大きいもの(F2以上)や表面にred color signと言われる発赤所見を認めるものでは破裂の可能性が高く予防的に内視鏡的治療を行うことが推奨されています。
 

 

・食道静脈瘤結紮術(EVL)
静脈瘤が破裂し出血を来している場合は、緊急で食道静脈瘤結紮術にて止血処置を行います。通常の内視鏡検査同様に、喉に局所麻酔を行った後、内視鏡を挿入していき、静脈瘤状の出血点を探します。出血をしている部位、もしくは出血を来した痕跡(血栓というかさぶたみたいな所見)が見つかれば、その場所を内視鏡で筒状のアタッチメントという器具の中に出血点を吸い込み、そこに輪ゴムのような止血器具をかけ、止血を行います。

・食道静脈瘤硬化療法(EIS)、食道静脈瘤硬化・結紮術同時療法(EISL)
静脈瘤の形態が大きいもの、表面の発赤所見が強いものでは、破裂の可能性が高く、予防的治療が行われます。当院での予防的な治療では内視鏡的静脈瘤硬化療法を用いており、近年は年平均20件の治療を行っています。方法としては内視鏡検査と同様に喉の局所麻酔を行った後、静脈麻酔により少し眠っていただき処置を開始します。内視鏡で静脈瘤を確認し専用の針を静脈瘤に穿刺し、レントゲンで確認しながら静脈瘤内・静脈瘤周囲に硬化剤を注入することで静脈瘤そのものを硬化します。治療当日は絶食となりますが、翌日には偶発症がないことを確認し食事を開始させていただきます。1度の治療では静脈瘤が残存し複数回の治療が必要となる場合もあり、1週間から2週間の間隔で治療を行っていきます。

食道静脈瘤に対する内視鏡治療の模式図

 

 

実際のEVL画像

 

 

実際のEIS画像