胆膵内視鏡(ERCP)について
内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)
内視鏡を使って胆管・膵管を造影する検査をERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)といいます。口から十二指腸まで内視鏡(胃カメラ)を入れ、その先端から膵管・胆管の中にカテーテル(細い管)を挿入します。カテーテルから造影剤を入れて、膵管や胆管のX線写真をとります。同時に膵液や胆汁を採取したり、病変部から組織や細胞を取って検査を行うこともあります。
内視鏡的乳頭切開術(EST)・内視鏡的結石除去術
STとは十二指腸乳頭(総胆管の十二指腸への出口)を広くする目的で乳頭部を内視鏡を通して挿入した電気メスで切開する処置です。ERCPに引き続いて行われ、総胆管結石の治療やステントの挿入時に必要になります。総胆管結石があった場合は拡張した乳頭から総胆管内にバスケット状のワイヤーを入れて結石を十二指腸に引き出します。結石が大きい場合は特殊なバスケットカテーテルを胆管内に挿入して石を小さく砕くこともあります。
検査の流れ
ERCP、ESTは入院で行う検査になります。前日、または当日より入院してもらいます。検査前にのどを麻酔薬で麻酔します。検査台に左側を下にして横になり、静脈注射にて意識をぼんやりとさせます。内視鏡を口から十二指腸まで挿入し、処置を行います。30分から1時間程度で終了した後、病室に戻り、休んでもらいます。
偶発症
偶発症としては、急性膵炎や胆管炎、出血、消化管穿孔があります。万一、偶発症が起きた場合には最善の処置・治療を行います。
検査件数
当院では総胆管結石、胆管炎の症例が非常に多く、緊急のERCP施行も多数行っています。平成24年度にはERCP を424件、ESTを211件行っています。
超音波内視鏡下吸引細胞診(EUS-FNAB)について
EUS-FNABとは?
膵臓の腫瘍や胃粘膜下腫瘍などを細胞で診断する検査です。口から内視鏡を胃・十二指腸まで進め、内視鏡の先についた超音波(エコー)で胃壁の外の膵臓をみながら針を膵臓に刺して膵臓腫瘍の細胞を採取します。細胞診で良性か悪性かを診断することで、今後の方針を決定することができます。
ESU機器 | 穿刺用スコープ先端 |
穿刺時超音波画像 | 細胞診の写真 |
検査前の準備・検査中のことについて
まず、のどの麻酔をした後、左を下にして横向きになります。腸の動きを抑える注射・眠たくなる注射や痛み止めの注射をし、通常は眠って検査を受けていただきます。検査時間は30分から1時間程度ですが、検査の種類により前後します。
検査後はどうなるか?
当日は絶食で安静です。翌朝などに血液検査をしてその結果で食事開始、退院となります。
EUS-FNABに伴う危険性(合併症)は?
いずれも低い頻度ですが、以下のことが考えられます。
・出血・穿孔―胃壁・膵臓を穿刺することにより起こることがあります。
・感染―腹腔内感染が起こることがあります。
・その他