当院では、元々医師と看護師・助手のみで手術室業務をおこなっていましたが、チーム医療の一環として平日日勤帯の手術室業務を開始しました。
手術室業務の内容を下記に記載します。
臨床業務
内視鏡、顕微鏡、レーザー手術装置、眼科(白内障治療)、超音波外科吸引装置などの手術に立会い、各種装置のセッティング、術中のトラブルなどに対応しています。ダヴィンチ手術では、泌尿器科・外科の手術に立会い、各種装置・映像システムのセッティング、ペイシェントカートのロールイン・ロールアウト、術中のトラブルなどに対応しています。ステントグラフト手術では、各種機器のセッティング・操作をおこない、手術の流れに応じて滅菌物を清潔野に受け渡し、状況に応じて看護師と協力し、清潔野での物品準備・治療介助をおこなっています。
臨床業務では、医師・看護師との距離が近く、直接やり取りし、即座に対応が求められるためやりがいがあります。学会などから他の施設の状況を学びながら、新たな業務展開を検討しています。
daVinci セッティング
daVinci ペイシェントカート ロールイン
daVinci手術の様子
眼科 白内障手術装置 CENTURION(日本アルコン ホームページより)
MEP業務
当院では、2024年4月から臨床検査部より引き継ぐ形で、心臓血管外科手術において、術中運動誘発電位モニタリング(motor evoked potentials:MEP)を開始しました。この検査は、頭部に取り付けた電極から脳の運動野を刺激し、その刺激が末梢の筋肉まで正常に伝わっているかをモニタリングすることで、手術操作が運動機能に影響を与えていないかを確認するものです。
心臓血管外科では、胸腹部人工血管置換術や胸部大動脈ステントグラフト内挿術(Thoracic EndoVascular Aortic Repair:TEVAR)の際、対麻痺予防のため、アダムキュービッツ動脈の虚血を早期発見することを目的としておこなっています。※1
脳外科、整形外科については、従来通り臨床検査部がおこなっており、知識の共有、勉強会を共同でおこなうなど安全に検査がおこなえるよう協力しています。
左:MEPモニタリングの様子
右:神経機能検査装置 MEE-2000(日本光電ホームページより)
下:MEPモニタリング画面
※1 夜間・休日においても、24時間院内に臨床工学技士が常駐する当直(日直)を行っており、迅速に対応できる体制を整えています。
機器管理業務
定期点検としては、麻酔器・電気手術器・超音波手術器などの特定保守管理医療機器を中心とした月1回の定期点検をおこなっています。術間・術後点検では、麻酔器を中心に感染対策として清拭し、麻酔回路のリークチェックをおこなっています。滅菌前点検では、ダヴィンチの各種鉗子・カメラの点検及びメンテナンス、内視鏡用フレキシブルスコープを含めたカメラ・硬性鏡の点検、内視鏡用絶縁鉗子の絶縁確認などを行っています。これらの点検を通して、手術中のトラブル軽減を目指しています。
また、手術室では全ての機器トラブルの一次対応を臨床工学技士が全て請け負っているため、応急処置・メーカーとのやり取りなどトラブル対応を業務メンバーで共有し、全員が同じ対応が取れるよう日々精進しています。最近では、外科・脳外科など各科ごとに担当スタッフを決め、知識・対応の専門性向上を目指しています。
※夜間・休日においても、24時間院内に臨床工学技士が常駐する当直(日直)を行っており、迅速に対応できる体制を整えています。
麻酔器の術間・術後点検
中央材料室での内視鏡絶縁鉗子の滅菌前点検
2024年5月 更新