津山中央病院


>
心臓血管センター
>
心臓血管外科 診療実績

心臓血管外科 診療実績

はじめに

 津山中央病院心臓血管外科は平成9年1月に創設されたました.同年3月に心房中隔欠損症修復手術を行い,当院初の心臓外科手術となりました.それ以来,患者様一人ひとりに対して丁寧で正確な手術を心がけてきました.そして平成26年2月に大動脈弁置換術と冠動脈バイパス同時手術を行い心臓胸部大血管手術が1000例に達しました.
これもひとえに,地域の病院勤務医,開業医の先生方のご支援と当科を信じて手術を受けてくださった患者様のおかげと感謝しております.当院で行った心臓胸部大血管手術1000例の内容を検討しました.

 

 

心臓胸部大血管手術1000例の検討
図1.心臓胸部大血管手術1000例の内訳

虚血性心疾患(冠動脈狭窄や閉塞が原因の疾患)が492例,弁膜症(心臓の弁が狭くなったり壊れて逆流を来す疾患)が301例,胸部大動脈疾患(胸部大動脈瘤や急性大動脈解離)が189例で,心臓腫瘍などその他の疾患が18例でした.約50%の症例が虚血性心疾患の手術でした.

 

 

 

図2.虚血性心疾患492例の内訳

OPCAB(人工心肺を使用しない心拍動下冠動脈バイパス術.いわゆるオフポンプ手術)が51%,CABG(人工心肺を使用して心拍動下,または心停止下の冠動脈バイパス手術)が47%で,MI(心筋梗塞)合併症(心破裂,心室中隔穿孔などの心筋梗塞合併症手術)が2%でした.

 

 

 

図3. 6年間の冠動脈バイパス手術155例の内訳

2008年1月1日から2013年12月31日までの近接6年間のバイパス手術を検討しました.県北地域は高齢者の手術が多いため,緊急手術でも可能な限り低侵襲なOPCABを行ってきました.その結果OPCAB施行率は91%(日本冠動脈外科学会公表の日本におけるOPCAB施行率は60%)でした.

 

 

 

図4a.弁膜症301例の内訳

弁膜症は301例で401の手術手技(1症例で大動脈弁置換術 (AVR)と僧帽弁形成術 (MVP)を同時に行った場合,2つの手術手技となる)が行われました.高齢者の動脈硬化性大動脈弁狭窄症の増加を反映してAVRが171例で一番多く,僧帽弁閉鎖不全症に対するMVPが99例でした.二次的三尖弁閉鎖不全症に対する三尖弁形成術 (TVP)が85例でした.リウマチ熱による僧帽弁狭窄症や大動脈弁狭窄症が減少しているため僧帽弁置換術 (MVR)や大動脈弁,僧帽弁の二弁置換術 (DVR)は合わせて53例でした.

 

 

 

図4b.弁膜症同時手術の内訳

弁膜症と同時に行った手術ではCABG(冠動脈バイパス術)が58例と最も多く,弁膜症に合併する心房細動に対するmaze手術が27例でした.

 

 

 

図5a.胸部大動脈疾患189例の内訳

急性大動脈解離や胸部大動脈瘤に対する上行大動脈置換術や弓部置換術がそれぞれ75例でした.広範な大動脈置換を要する胸腹部大動脈瘤手術は10例でした.

 

 

 

図5b.胸部大動脈疾患同時手術の内訳

同時手術はベントール手術(大動脈基部を人工弁付き人工血管で置換し冠動脈をボタン状にくり抜いて人工血管に縫合する手術)が6例,AVRが7例,CABGが14例でした.